漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

スポンサーリンク

2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

松香

○松香(しょうこう) 中国の中南部の各地に分布しているマツ科の常緑高木タイワンアカマツ(Pinus massoniana)やユシュウ(P.tabulaeformis)などのマツの幹からとった樹脂を用いる。枝や幹の節は松節、葉は松葉といい薬用にする。 マツの幹を刀でV字に削…

小薊

○小薊(しょうけい) 九州の対馬列島、朝鮮半島、中国の東北部にかけて分布するキク科の多年草アレチアザミ(Breea segetum)の全草又は根を用いる。アレチアザミの花はアザミに似ているが、葉の形は全く異なり、アザミ属ではない。 一方、アザミとして代表…

生姜

○生姜(しょうきょう) 熱帯アジア原産で日本にも古くに渡来したショウガ科の多年草ショウガ(Zingiber officinale)の根茎を用いる。ショウガは食料や香辛料のジンジャーとしても広く用いられている。 中国で生姜といえば生のヒネショウガのことである。日…

紫陽花

○紫陽花(しょうか) 日本の各地で栽培されているユキノシタ科の落葉低木アジサイ(Hydrangea macrophylla)の根や葉、花を用いる。アジサイは日本でガクアジサイ(H.macrophylla.f.normalis)から改良された品種で、鎌倉時代に園芸化され、江戸時代には一般…

棕櫚

○棕櫚(しゅろ) 中国あるいは南九州を原産とするヤシ科の常緑高木シュロ(Trachycarpus fortunei)の葉や葉鞘を用いる。中国では葉柄が短く葉もやや小さいトウジュロ(T.wagnerianus)を用いる。日本では棕櫚葉として、中国ではおもに葉鞘の繊維を棕櫚皮と…

○朮(じゅつ) キク科に属する多年草オケラ(Atractylodes japonica)およびその同属植物の根茎を朮という、オケラは、秋にはアザミに似た白い花が咲き、花の周囲は魚の骨のような総苞で覆われている。 大晦日の夜に京都の八坂神社で行われているオケラ祭り…

朱砂

○朱砂(しゅしゃ) 天然の硫化水銀、辰砂(Cinnabar)の鉱石を用いる。湖南省の辰州に良品を産することから辰砂といい、色が赤いことから朱砂、丹砂など呼ばれる。品質の最もよいものを光明砂という。 中国では湖南・四川・貴州省などで産出する。大きさや形…

縮砂

○縮砂(しゅくしゃ) インドシナ半島や中国の雲南省に分布するショウガ科の多年草シュクシャミツ(Amomum xanthioides)やヨウシュンシャ(A.villosum)の種子塊を用いる。日本薬局方ではシュクシャミツが規定されているが、中国ではおもにヨウシュンシャを…

熟地黄

○熟地黄(じゅくじおう) 中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を加工したものを用いる。熟地黄には蒸気で蒸す蒸熟地黄と紹興酒などの醸造酒を加えて蒸す酒熟地黄とがある。 ジオウの根を酒に漬け、それを蒸し器で蒸し、日干…

十薬

○十薬(じゅうやく) 日本の各地をはじめ東アジアに広く分布するドクダミ科の多年草ドクダミ(Houttuynia cordata)の全草を用いる。平地ややや湿ったところに普通にみられ、独特の臭気がある。 この臭いのため中国では魚腥草という。和名は毒が入っていそう…

秋石

○秋石(しゅうせき) 明石には淡秋石と鹹秋石とがあり、人尿を加工したものを淡秋石、石塩を加工したものを鹸秋石あるいは盆秋石という。 淡秋石の作り方は、秋に童尿を集め、石膏を加えて沈殿させ、上澄み液を捨てるという行程を何回か繰り返し、白く練り上…

臭梧桐

○臭梧桐(しゅうごとう) 日本の各地、朝鮮、中国などに分布するクマツヅラ科の落葉低木クサギ(Clerodendrum trichotomum)の若い枝や葉を用いる。根は臭梧桐根という。キリ(梧桐)の葉に似て特異な臭いがあるため臭梧桐とか、クサギ(臭木)という名があ…

戎塩

○戒塩(じゅうえん) 古い地質時代に内海や塩湖が干上がって沈殿した食塩が、再結晶してできた岩塩(ハーライト:Halite)を用いる。中国では古くから戎地(西戎)と呼ばれた青海省の塩湖から産出している。 天然の食品の結晶は光明塩といい、海水を日干しし…

茺蔚子

○茺蔚子(じゅういし) 日本の各地、朝鮮半島、中国から東アジアに賭けて分布するシソ科の越年草メハジキ(Leonurus sibiricus)の果実を用いる。メハジキの花をつけた全草は益母草という。 果実は長さ2~3mmくらいの小さな褐色の三稜形をしている。成分…

しゃ虫

○しゃ虫 ゴキブリ科の昆虫シナゴキブリ(Eupolyphaga sinensis)、またはマダラゴキブリかに属するサツマゴキブリ(Opistoplatia orientalis)の雌の成虫全体を乾燥して用いる。 シナゴキブリは中国全土に分布し、スッポン(鼈)に似た形をしているため、地…

蛇退皮

○蛇退皮(じゃたいひ) 各種のヘビ(蛇)の脱皮した抜け殻を用いる。中国産の蛇退皮はサキシマスジオ(Elaphe taeniurus)、シュウダ(E.carinata)、ウショウダ(Zaocys dhumnades)などの脱皮膜である。日本産はアオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシなど…

車前子

○車前子(しゃぜんし) 日本各地、東アジアに広く分布するオオバコ科の多年草オオバコ(Plantago asiatica)の種子を用いる。中国ではムジナオオバコ(P.depressa)も用いられる。オオバコの全草は車前草という。 花穂が成熟したころに刈り取って、手で揉み…

沙参

○沙参(しゃじん) 中国東北部の遼寧・杏林・黒龍江省に分布するキキョウ科の多年草サイヨウシャジン(Adenophora terraphylla)、中国中部に分布するトウシャジン(A.axilliflora)およひ同属食部の根を用いる。 日本でも古くからトウシャジンが栽培され、…

蛇床子

○蛇床子(じゃそうし) 中国東北部、モンゴル、シベリア、朝鮮半島に分布するセリ科の越年草オカゼリ(Cnidium monnieri)の成熟果実を用いる。日本では一般に同じセリ科のヤブジラミ(Torilis japonica)の成熟果実を蛇床子(和蛇床子)といっている。ただ…