馬鞭草
○馬鞭草(ばべんそう)
本州以南の日本各地、世界中の温帯から熱帯に広く分布しているクマツヅラ科の多年草クマツヅラ(Verbena officinalis)の全草を用いる。野原や道端に自生しており、開花期に採取して乾燥する。
全草の成分としてフラン誘導体のベルベナロールとその配糖体のベルベナリンなどが知られている。漢方では活血・通経・利水の効能があり、月経不順や月経痛、腹部の腫塊などに用いる。また近年、中国では腎炎の浮腫や肝硬変の腹水、マラリアやフィラリアなどの治療に応用されている。
日本の民間では腫れ物や種々の皮膚病に生の汁を塗布したり、煎液で洗う治療法がある。ただし煎じ液を続けて服用すると食欲が減退するといわれている。欧米ではクマツヅラを神経症や頭痛、肝胆系の治療に利用している。ちなみに古代ギリシャ・ローマ時代では神事や呪術などに用いられ、結石の妙薬とされていた。