2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧
○麝香(じゃこう) 中国東北部からチベット、ヒマラヤにかけて生息しているシカ科の動物ジャコウジカ(Moschus moschiferus)の雄のジャコウ腺分泌物を用いる。ジャコウジカはシカを小型化したような動物で雌雄ともに角はなく、上顎の犬歯が下に伸びて牙のよ…
○鷓鴣菜(しゃこさい) 温暖な地域の沿岸や河口付近に分布する海藻コノハノリ科のセイヨウアヤギヌ(Caloglossa leprieurii)の全藻を用いる。かつて鷓鴣菜を日本の駆虫薬である海人草の別名とする説もあったが、海人草は紅藻類のフジマツモ科のマクリ(Dige…
○芍薬(しゃくやく) 白芍は外皮を除いて湯通ししたもの、赤芍は中国東北部の野生種の皮を去らずに乾燥したものを使用する。現在、四川省で栽培された芍薬の皮を去らずに乾燥させたものが日本薬局方のシャクヤクに適合することから、日本で赤芍として使用さ…
○赤石脂(しゃくせきし) 中国の各地で採掘される赤褐色ないしは淡紅色のケイ酸塩類の粘土状鉱物ハロイサイト(Halloysite)の一種を用いる。神農本草経には五色石脂として収載されているが、古来よりおもに赤石脂と白石脂が薬用にされてきた。 赤石脂の主成…
○柿餅(しへい) 東アジアの温帯に分布するカキノキ科の常緑高木カキの果実を加工して餅状にしたものを用いる。英語でもkakiというが、奈良時代に中国から渡来したという説が有力である。 樹のままで渋みが抜ける甘柿と自然には脱渋しない渋柿とがあり、前者…
○梓白皮(しはくし) ノウゼンカズラ科の落葉高木キササゲ(Caralpa ovata)の根皮や樹皮の周皮を除いたものを用いる。また果実を梓実、日本ではキササゲという。 キササゲは中国中南部原産の落葉高木で10m以上にも達するため俗に雷の木ともいわれている…
○地膚子(じふし) ユーラシア大陸に広く分布するアカザ科の一年草ホウキギ(Kochia scoparia)の成熟果実を用いる。ホウキギ(箒木)とは茎全体を乾燥して束ね、草ぼうきに用いたことに基づく名である。 ハハキギとも呼ばれ、近年は園芸植物として属名のコ…
○自然銅(じねんどう) 漢方生薬でいう自然銅とは硫化鉄鉱石である黄鉄鉱(Pyrite)のことである。鉱物学では自然に産する銅の単体を自然銅というが、生薬の自然銅にはほとんど銅は含まれていない。 自然銅は比較的ありふれた鉱物であるが、真鍮色をしている…
○柿蒂(してい) 東アジアの温帯に分布するカキノキ科の落葉高木カキの宿存花萼を用いる。つまり成熟したカキのヘタを柿蒂という。生薬としては葉を柿葉、干し柿の表面の粉を柿霜、柿のしぶを柿漆という。 ヘタにはオレアノール酸、ウルソール酸、ヘミセルロ…
○蒺藜子(しつりし) 世界各地の温帯から熱帯にかけて広く分布するハマビシ科の一年草ハマビシ(Tribulus terrestris)の果実を用いる。一般に海辺の砂浜に自生し、果実が菱の実に似ているためハマビシ(浜菱)の名がある。 古来、蒺藜と呼ばれる生薬には蒺…
○紫壇(したん) インドから東南アジア、マレー半島など熱帯から亜熱帯にかけて分布するマメ科の常緑高木シタン(Pterocarpus indicus)の心材を用いる。 シタンの心材は黄褐色で美しく、家具や床柱、工芸品として利用されている。ただし日本で一般に紫壇と…
○紫蘇子(しそし) 中国原産のシソ科の一年草シソ(Perilla frutescens var.acuta)やチリメンジソの種子を用いる。シソの葉は蘇葉、茎は紫蘇梗という。日本にも古くから伝わり、各地で野生化している。 かつて紫蘇子の油は灯火油として用いられていた同じシ…
○紫蘇梗(しそこう) 中国原産のシソ科の一年草シソやチリメンジソの茎を用いる。シソの果実は紫蘇子、葉は蘇葉という。シソはアントシアニン系の赤い色素の有無によって赤ジソと青ジソに分けられ、薬用にはおもに赤ジソ、とくにチリメンジソが用いられる。 …
○柿霜(しそう) 干し柿の表面に生じる白粉を柿霜という。成熟したカキ(Diospyros kaki)の果実の外皮をむき、1ヶ月間、日や夜露に当てて乾燥し、さらに1ヶ月は室内でムシロの中に放置すると柿餅、つまり中国式の干し柿ができる。このとき表面に生じる白…
○蓍草(しそう) 日本の中部以北、北海道を始め東アジアから北米に分布するキク科のノコギリソウ(Achillea alpina)の全草を用いる。葉が深く切れ込みノコギリ状になっているためノコギリソウの名がある。 ノコギリソウの属名、アキレア(Achillea)という…
○紫石英(しせきえい) 紫石英は紫水晶(アメジスト:Amethyst)のことであったが、現在ではおもに紫色の蛍石(フルオライト:Fluorite)の鉱石が用いられている。また中国南部では方解石の紫色のものを紫石英として用いている。 蛍石はおもに熱鉱脈中に産し…
○紫珠(ししゅ) 日本各地に分布しているクマツヅラ科の落葉低木ムラサキシキブ(Callicarpa japonica)やコムラサキ(C.dichotoma)の葉及び根を用いる。中国ではホウライムラサキ(C.formosana)の葉や若枝を紫珠という。 ムラサキシキブの名は鈴なりにな…
○磁石(じしゃく) 世界各地に産する天然の磁鉄鉱(マグネタイト:Magnetite)である。通常、火成岩や変成岩の中に入っており、鉄の原料としても用いられる。おもに成分は四酸化三鉄(Fe3O4)であり、酸化マグネシウムや酸化アルミニウムを含むこともある。 …
○柿漆(ししつ) カキノキ科のカキ(Diospyros kaki)の渋を用いる。カキの未熟な果実(青柿)を容器に入れて搗き砕き、水を加えてときどき攪拌しながら3週間ほど放置して発酵させ、滓を除くとニカワ状の液が得られる。これを柿漆あるいは柿渋という。 かつ…
○紫根(しこん) 日本の各地や中国、朝鮮半島に分布しているムラサキ科の多年草ムラサキ(Lithospermum erythrorhizom)の根を用いる。中国では紫根を硬紫根と軟紫根とに区別し、ムラサキの根を硬紫根というのに対し、同じムラサキ科の新疆紫草(Arnebia euc…
○地骨皮(じこっぴ) 本州以南、朝鮮半島、台湾、中国などに分布するナス科の落葉低木クコ(Lycium chinense)の根皮を用いる。クコの果実は枸杞子、葉は枸杞葉といい薬用にする。枸杞葉はクコ茶、枸杞子はクコ酒としても親しまれている。 クコの根皮にはベ…