漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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素馨花

○素馨花(そけいか)

 インドからイランにかけて野生するモクセイ科のつる性常緑低木ソケイ(Jasminum officinale)の花や花蕾を用いる。硬い蕾は特に素馨針という。

 中国南部や台湾でも栽培され、日本にも19世紀の初めごろに伝えられた。白く小さな花が夜間に開き、芳香を放つ。素馨とい名は中国の美女の名前に由来する。ソケイ属は学名ジャスミンといい、花に芳香のあるものが多く、香料源として栽培されているものが多い。ジャスミン茶といえば同属植物のマツリカ(J.sambac)の花の入ったお茶をいうが、ソケイもジャスミンの一種であり、花から得られるジャスミン油は化粧品や香料として用いられている。

 ジャスミン油にはリナロールやベンジルアセテート、芳香の主成分であるジャスモンが含まれている。漢方では疏肝・理気・止痛の効能があり、理気薬のひとつとしておもに肝気欝結による胸脇部の痛みや腹痛に用いる。例えば消化不良や潰瘍、肝炎などによる上腹部や側腹部の痛みに使用する。お茶として愛飲すれば婦人の更年期障害にも効果がある。