漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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2013-01-01から1年間の記事一覧

大麻

○大麻(たいま) 中央アジア原産のクワ科の一年草アサ(Cannabis sativa)の雌株の未熟果穂をつけた枝先や葉を用いる。本来、この植物をアサ(麻)と呼んでいたが、いつの間にか繊維植物の総称として麻というようになり、現在では亜麻や苧麻の繊維のことを麻…

大腹皮

○大腹皮(だいふくひ) マレー半島原産でインドネシア、フィリピン、中国南部に植栽されるヤシ科の常緑高木ビンロウ(Areca catechu)の果実の果皮を大腹皮という。種子は檳椰子という。日本には奈良時代にこの果実が薬用や染料の目的で輸入された記録がある…

大風子

○大風子(だいふうし) 東南アジアやインドなどで栽培されているイイギリ科の常緑高木ダイフウシノキ(Hydnocarpus anthelmintica)の種子を用いる。大風というのはハンセン病(癩病)のことである。 インドには古くからチャウルムグラ(H.wightiana)の種子…

大棗

○大棗(たいそう) ヨーロッパ南部からアジア西南部が原産とされているクロウメモドキ科の落葉高木ナツメ(Zizphus jujuba var.inermis)の半熟果実を用いる。ナツメの枝には刺はないか、あるいは少ないが、この母種といわれるサネブトナツメ(Z.jujuba)に…

大青葉

○大青葉(たいせいよう) クマツヅラ科のマキバクサギ(Clerodendron cyrtophyllum)、タデ科のアイ(Polygonum tinctorium)、アブラナ科のホソバタイセイ(Isatis tinctoria)やタイセイ(I.indigotica)、キツネノマゴ科のリュウキュウアイ(Strobilanthe…

大豆黄巻

○大豆黄巻(だいずおうけん) マメ科のダイズ(Glycine max)の種子を発芽させ、1cmくらいのもやしになったものを用いる。ダイズはアメリカをはじめ、ブラジル、中国、アルゼンチンなど世界各地で栽培され、ダイズもやしは中華料理、韓国料理で多く利用さ…

代赭石

○代赭石(たいしゃせき) 中国各地に産する赤鉄鉱(Hematite)の一種で、多少粘土を混有したものである。日本では新潟県の佐渡に産する。成分は主に酸化鉄(Fe2O3)からなり、ケイ酸(SiO2)やアルミニウム化合物(Al2O3)なども含み、またマンガン、マグネ…

太子参

○太子参(たいしじん) 中国、朝鮮半島、日本に分布しているナデシコ科の多年草ワダソウ(Pseudostellaria heterophylla)の塊根を用いる。主産地は江蘇・山東省である。 太子参とはもともとウコギ科のオタネニンジンの小さいものを指したが、その代用として…

大蒜

○大蒜(たいさん) 西アジア原産とされるユリ科の多年草ニンニク(Allium sativum)の鱗茎を用いる。ニンニクは前漢の時代に長騫がインド(西域)から中国に持ち帰ったものといわれ、かつては胡蒜とか葫といわれていた。日本にも古くから朝鮮を経由して伝来…

大戟

○大戟(たいげき) 中国、朝鮮半島、日本各地に分布するトウダイグサ科の多年草タカトウダイ(Euphorbia pekunensis)の根を用いる。そのほか中国南西部に分布するアカネ科の多年草コウガタイゲキ(Knoxia valerianodes)の根も大戟として扱われている。一般…

大薊

○大薊(だいけい) 中国の各地、日本の各地に自生しているキク科の多年草ノアザミ(Cirsium japonicum)の全草あるいは根を用いる。一方、小薊というのはキク科のアレチアザミ(Breea segetum)の根または全草である。 日本の市場では、日本で採取されたノア…

大黄

○大黄(だいおう) 中国などに分布するタデ科の多年草ダイオウ類の根茎を用いる。ダイオウはおもに中国西北部の海抜2000~3000mの高山に自生し、ギシギシとよく似た植物であるが草丈は2mにも及ぶ。 中国、朝鮮産のダイオウの基原植物にはショウヨ…

大茴香

○大茴香(だいういきょう) 中国南部、台湾、ベトナム北部に分布するシミキ科(モクレン科)の常緑小高木ダイウイキョウ(Illicium verum)の成熟果実を用いる。単に茴香といえばセリ科のウイキョウ(Foeniculum vulgare)の果実、小茴香(フェンネル)のこ…

鼠李子

○鼠李子(そりし) 日本では北海道、本州、九州、四国に分布するクロウメモドキ科の落葉低木クロウメモドキ(Rhamnus japonica)の果実を用いる。中国産はチョウセンクロツバラ(R.davurica)の果実である。ウメモドキに似て、果実が黒くなるためクロウメモ…

蘇葉

○蘇葉(そよう) 中国原産のシソ科の一年草シソ(Perilla frutescens var.acuta)やチリメンジソ(P.frutescens var.crispa)の葉を用いる。シソの種子は紫蘇子、茎は紫蘇梗という。日本にも古くに伝わり、野生化しているものもある。 紫蘇には特有のペリラ…

蘇木

○蘇木(そぼく) インドからマレー半島原産で中国南部や台湾でも栽培されるマメ科の常緑小高木スオウ(Caesalpinia sappan)の心材を乾燥したものを用いる。スオウというのは中国名の蘇方の転じたもので、蘇芳と蘇方木とも書かれる。 心材には黄色結晶である…

鼠婦

○鼠婦(そふ) ダンゴムシ科の動物オカダンゴムシ(Armadillidum vulare)の乾燥した全虫を用いる。オカダンゴムシはユーラシア大陸を原産とするが、現在では世界中に広く分布している。 体長1~1.5cmくらい、黒灰色の長楕円形で、背中が七節に分かれ…

蘇鉄実

○蘇鉄実(そてつじつ) 九州南部や沖縄県、中国南部に分布するソテツ科の常緑低木ソテツ(Cycas revoluta)の種子を用いる。日本の民間では一般に蘇鉄実、蘇鉄子というが、中国では鉄樹果という。ソテツはヤシ科の植物に似ているが雌雄異株の裸子植物であり…

蘇合香

○蘇合香(そごうこう) 東南アジアに分布するマンサク科の落葉小高木レヴァントスティラックス(Liquidambar orientalis)の樹脂を用いる。トルコ産を主産地とするが、中国でも広西省で栽培されている。かつて蘇合香はトルコ近辺に産するエゴノキ科の植物、…

素馨花

○素馨花(そけいか) インドからイランにかけて野生するモクセイ科のつる性常緑低木ソケイ(Jasminum officinale)の花や花蕾を用いる。硬い蕾は特に素馨針という。 中国南部や台湾でも栽培され、日本にも19世紀の初めごろに伝えられた。白く小さな花が夜…

側柏葉

○側柏葉(そくはくよう) 中国または朝鮮半島を原産とするヒノキ科の常緑小高木コノテガシワ(Thuja orientalis)の若枝を含む葉を用いる。種子は柏子仁という。ヒノキに似た葉を有するが、葉は表裏の区別がなく全てが垂直に並び、手掌を立てたように見える…

続断

○続断(ぞくだん) マツムシソウ科のナベナ(Dipsacus japonicus)やトウナベナ(D.asper)の根を用いる。中国ではおもに四川省などで採れるトウナベナ(川続断)の根が用いられるため川断とも呼ばれている。 ナベナは本州、九州、四国や朝鮮半島、中国東北…

続隋子

○続隋子(ぞくずいし) ヨーロッパ南部原産のトウダイグサ科の一年草、ホルトソウ(Euphorbia lathyris)の成熟種子を用いる。別名を千金子ともいい、種子の殻を除き、砕いて油がなくなるまで圧搾したものを千金霜という。 日本には16世紀(天文年間)に渡…

桑葉

○桑葉(そうよう) クワ科の落葉高木クワの葉を桑葉という。中国では主にトウグワ(Morus alba)を用い、日本では自生するヤマグワ(M.bombycis)を用いる。クワの根の皮は桑白皮、果実は桑椹子、幼枝は桑枝と称し薬用にする。葉は養蚕のためだけでなく、桑…

桑螵蛸

桑螵蛸(そうひょうしょう) カマキリ科の昆虫オオカマキリ(Paratendera sinensis)、コカマキリ(Statilia maculata)などの卵蛸(巣)を用いる。カマキリの成虫を生薬では蟷螂というが、一般にはあまり用いない。桑の枝についているものが珍重されるため…

象皮

○象皮(ぞうひ) 哺乳類、ゾウ科のインドゾウ(Elephas maximus)の外皮を用いる。ゾウはアフリカゾウ(E.Africanus)とインドゾウに大別されるが、アフリカゾウの耳がインドゾウよりも大きいことで区別される。 インドゾウはインド、マレー半島、スマトラ、…

桑白皮

○桑白皮(そうはくひ) クワ科の落葉高木クワの根のコルク層を除去した根皮を桑白皮という。またクワの葉を桑葉、幼枝を桑枝、果実を桑椹子という。 日本では北海道から九州、朝鮮半島、中国に分布するヤマグワ(Morus bombycis)を用いる。中国産はトウグワ…

葱白

○葱白(そうはく) 中央アジア原産とされるユリ科の多年草ネギ(Allium fistulosum)の根の付近の白い部分を薬用に用いる。中国で栽培されてきた最も古い野菜のひとつといわれている。日本にも弥生時代に伝来したと推定されている。 ネギの古名は「き」であ…

草豆蔲

○草豆蔲(そうずく) 台湾、海南島など中国南東部に分布するショウガ科の多年草アルピニア・カツマダイ(Alpinia katsumadai)の成熟した種子塊(果実)を用いる。従来、「名医別録」などに記載されている豆蔲は草豆蔲のこととされているが、形態から検討す…

桑椹子

○桑椹子(そうじんし) クワ科の落葉高木クワの花穂についたままの果実を用いる。中国ではおもにトウグワ(Morus alba)を用い、日本ではヤマグワ(M.bombycis)を用いる。クワの葉は桑葉、根の皮は桑白皮、幼枝は桑枝という。 果実は多汁で甘酸っぱく、欧米…