漢方生薬辞典

約780種の生薬を五十音順に紹介。日本の漢方薬や伝統薬に配合されている和漢生薬、民間薬、ハーブなども紹介。

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生薬名(さ~そ)

紫蘇子

○紫蘇子(しそし) 中国原産のシソ科の一年草シソ(Perilla frutescens var.acuta)やチリメンジソの種子を用いる。シソの葉は蘇葉、茎は紫蘇梗という。日本にも古くから伝わり、各地で野生化している。 かつて紫蘇子の油は灯火油として用いられていた同じシ…

紫蘇梗

○紫蘇梗(しそこう) 中国原産のシソ科の一年草シソやチリメンジソの茎を用いる。シソの果実は紫蘇子、葉は蘇葉という。シソはアントシアニン系の赤い色素の有無によって赤ジソと青ジソに分けられ、薬用にはおもに赤ジソ、とくにチリメンジソが用いられる。 …

柿霜

○柿霜(しそう) 干し柿の表面に生じる白粉を柿霜という。成熟したカキ(Diospyros kaki)の果実の外皮をむき、1ヶ月間、日や夜露に当てて乾燥し、さらに1ヶ月は室内でムシロの中に放置すると柿餅、つまり中国式の干し柿ができる。このとき表面に生じる白…

蓍草

○蓍草(しそう) 日本の中部以北、北海道を始め東アジアから北米に分布するキク科のノコギリソウ(Achillea alpina)の全草を用いる。葉が深く切れ込みノコギリ状になっているためノコギリソウの名がある。 ノコギリソウの属名、アキレア(Achillea)という…

紫石英

○紫石英(しせきえい) 紫石英は紫水晶(アメジスト:Amethyst)のことであったが、現在ではおもに紫色の蛍石(フルオライト:Fluorite)の鉱石が用いられている。また中国南部では方解石の紫色のものを紫石英として用いている。 蛍石はおもに熱鉱脈中に産し…

紫珠

○紫珠(ししゅ) 日本各地に分布しているクマツヅラ科の落葉低木ムラサキシキブ(Callicarpa japonica)やコムラサキ(C.dichotoma)の葉及び根を用いる。中国ではホウライムラサキ(C.formosana)の葉や若枝を紫珠という。 ムラサキシキブの名は鈴なりにな…

磁石

○磁石(じしゃく) 世界各地に産する天然の磁鉄鉱(マグネタイト:Magnetite)である。通常、火成岩や変成岩の中に入っており、鉄の原料としても用いられる。おもに成分は四酸化三鉄(Fe3O4)であり、酸化マグネシウムや酸化アルミニウムを含むこともある。 …

柿漆

○柿漆(ししつ) カキノキ科のカキ(Diospyros kaki)の渋を用いる。カキの未熟な果実(青柿)を容器に入れて搗き砕き、水を加えてときどき攪拌しながら3週間ほど放置して発酵させ、滓を除くとニカワ状の液が得られる。これを柿漆あるいは柿渋という。 かつ…

紫根

○紫根(しこん) 日本の各地や中国、朝鮮半島に分布しているムラサキ科の多年草ムラサキ(Lithospermum erythrorhizom)の根を用いる。中国では紫根を硬紫根と軟紫根とに区別し、ムラサキの根を硬紫根というのに対し、同じムラサキ科の新疆紫草(Arnebia euc…

地骨皮

○地骨皮(じこっぴ) 本州以南、朝鮮半島、台湾、中国などに分布するナス科の落葉低木クコ(Lycium chinense)の根皮を用いる。クコの果実は枸杞子、葉は枸杞葉といい薬用にする。枸杞葉はクコ茶、枸杞子はクコ酒としても親しまれている。 クコの根皮にはベ…

刺五加

○刺五加(しごか) 北海道、朝鮮半島根中国北部、シベリアに分布するウコギ科の落葉低木エゾウコギ(Acanthopanax senticosus)の根及び根茎を用いる。従来、エゾウコギは中国では五加皮の基原植物の一つとされていたが、近年、とくに刺五加あるいは五加参と…

嗜好料

○嗜好料(しこうりょう) 一般に刺激や芳香、爽快感、催酔性を楽しむためのもので、とくに栄養価や薬用的な目的を持たずに習慣的に利用されるものを嗜好料という。本来は宗教的、儀礼的な目的や、薬用的な意味を持ったものが、いつの間にか嗜好品になったも…

紫梗

○紫梗(しこう) インドやビルマなどに産するカイガラムシ科(アリマキ科)のラックカイガラムシ(Laccifer lacca)が樹木に分泌した膠物質を用いる。中国でも雲南省や四川省に産し、一般に紫草茸といわれている。日本ではこれを没薬あるいは花没薬といい、…

使君子

○使君子(しくんし) 熱帯アジアに分布するシクンシ科のつる性常緑低木シクンシ(Quisqualis indica)の果実を用いる。日本では石垣島や西表島などで植えられ、半野生化している。果実の形はクチナシに似て紡錘形で五稜を有し、中に紡錘形の種子がひとつ入っ…

紫金牛

○紫金牛(しきんぎゅう) 日本全土や朝鮮半島、中国に分布するヤブコウジ科の常緑小低木ヤブコウジ(Ardisia japonice)の茎葉を用いる。日本の民間薬ではヤブコウジの根を用いる。中国では根を紫金牛根というが、茎葉を薬用とすることが多い。冬に赤い実を…

ジギタリス

○ジギタリス ヨーロッパ南部原産のゴマノハグサ科の多年草ジキタリス(Digitalis purpurea)の葉を乾燥させたものを用いる。一般に内服には葉を粉末にしたジギタリス末を用いる。 和名のキツネノテブクロという名は英語のフォックス・グローブ(Fox-glove)…

糸瓜絡

。○糸瓜絡(しからく) ウリ科のヘチマ(Luffa cylindrica)のよく熟した果実の網状繊維を糸瓜絡という。枯れた果実をとり、揉んで外皮と果肉を取り去ったり、水に長く漬けて果皮と果肉を腐らして洗い流し、種子を除いて日干しにして網状の繊維だけを残す。…

紫河車

○紫河車(しかしゃ) ヒトの胎盤を乾燥したものを用いる。人胞・胞衣・胎衣・混沌衣・佛袈裟・混元衣などの別名もある。また新生児の臍帯も利用されることがあり、生薬名を坎気という。紫河車は健康な産婦の分娩時に排出された胎盤の血管を切り、何度も水で…

紫花地丁

○紫花地丁(しかじちょう) スミレ科の多年草ノジスミレ(Viola yedoensis)やスミレ(V.mandshurica)などの全草を用いる。紫花地丁の別名を地丁ともいうが、単に地丁といえばスミレ科の植物以外にもマメ科やリンドウ科の数種類の植物も基原として含まれる…

糸瓜

○糸瓜(しか) 熱帯アジア原産であるウリ科のつる性一年草ヘチマ(Luffa cylindrica)の新鮮で柔らかい果実を用いる。また果皮は糸瓜皮、果実内の繊維を糸瓜絡、種子を糸瓜子、茎の中の水は天羅水(和名:ヘチマ水)という。 日本には江戸時代初期に渡来し、…

紫苑

○紫苑(しおん) 朝鮮半島から中国北部、モンゴル、シベリアにかけて分布するキク科の多年草シオン(Aster tataricus)の根を用いる。中国では軟紫菀ともいう。これに対しキク科のオタカラコウ(Ligularia fischeri)などの根を硬紫菀あるいは山紫菀といつて…

地黄

○地黄(じおう) 中国原産のゴマノハグサ科の多年草ジオウ(Rehmannia glutinosa)の根を用いる。ジオウにはアカヤジオウ(R.glutinosa var.purpurea)とカイケイジオウ(var.hueichingensis)の2つの系統がある。 カイケイジオウは河南省懐慶を主産地とす…

雌黄

○雌黄(しおう) 温泉や火山付近の低温熱水鉱脈に産出する硫化ヒ素鉱、雌黄(Orpiment)である。通常、雄黄や輝安鉱などとともに産する。 雄黄と雌黄はいずれも硫化ヒ素であるが、雄黄はAs4S4であるのに対し、雌黄はおもに三硫化ニヒ素As2S3を含む…

刺猬皮

○刺猬皮(しいひ) 中国各地の山林や草原に生息しているハリネズミ科の動物、ナミハリネズミ(Erinaceus europaeus)あるいはダウリアハリネズミ(Hemiechinus dauuricus)の皮を用いる。 これらハリネズミは夜行性でおもに昆虫や小動物を食べている。体長は…

三稜

○三稜(さんりょう) 日本の各地、東アジアにかけて分布し、池や沼などの浅い水中に生えるミクリ科の多年草ミクリ(Sparganium stoloniferum)やエゾミクリ(S.simplex)、ヒメミクリ(S.stenophyllum)の塊茎を用いる。しかし、中国東北部や内モンゴル自治…

山羊血

○山羊血(さんようけつ) 中国東北部および内モンゴルの山中に生息するヤギに似たウシ科の動物ゴーラル山羊・青羊(Naemorhedus goral)の血を乾燥したものを用いる。ゴーラルは体長約1m、雄雌とも短いまっすぐな角を持ち、全体の色は灰褐色である。多くは…

山薬

○山薬(さんやく) 本州以南、台湾、中国大陸に分布するヤマノイモ科のつる性多年草ヤマノイモ(Dioscorea japonica)または中国中南部原産のナガイモ(D.opposita)の根茎を用いる。 一般に野生のものはヤマノイモまたは自然生といい、中国から渡来した栽培…

山扁豆

○山扁豆(さんへんず) 沖縄県や世界の熱帯から亜熱帯にかけて分布するマメ科の一年草リュウキュウカワラケツメイ(Cassia mimosoides)の全草を山扁豆という。日本では日本各地に分布するマメ科のカワラケツメイ(C.nomame)の果実をつけた全草を山扁豆と称…

山菜

○山菜(さんな) インド、マレー半島原産で中国の南部に産するショウガ科の多年草バンウコン(Kaempferia galanga)の根茎を用いる。日本には江戸時代に渡来して、観賞用に栽培されている。日本のバンウコンは蕃欝金と書き、南蛮から渡来したウコン(欝金)…

山茶花

○山茶花(さんちゃか) 本州、四国、九州、沖縄県、朝鮮半島や中国に分布するツバキ科の常緑高木ツバキ(Camellia japonica)などの花を用いる。一般に蕾がふくらんで花が咲こうとする直前に採取する。 山茶花と書くと日本ではサザンかと読むが、中国語では…